【沖縄視察レポート❶】話題の「ジャングリア」現地調査 リサーチ出張
今回は、沖縄の最新集客スポットやインフラ商業施設、飲食環境のリサーチに行ってきました。話題のテーマパーク「ジャングリア」のリアルな体験、復興が進む「首里城」の観光資源としての魅せ方、さらにSA/PAや道の駅における物販・飲食の現場まで、感じた気づきをレポートします。
❶ 話題の「ジャングリア」現地調査 — 体感して見えた課題と可能性
(昼の課題:広大な動線、猛暑・気候対策、マンパワーとMD)
メディアやSNSを賑わせている新テーマパーク「ジャングリア」。
実際のターゲット層、オペレーション、飲食・物販の現状を現地で検証してきました。






▲小雨〜曇りの天候でも油断すると強い日焼けをする沖縄の気候。広大な大自然の中にパークが広がります。
リアルな体験とオペレーションの検証
■ 混雑状況と予約動線:事前期待と課金システムのギャップ
台風明けの小雨が降る平日に訪れたため、園内全体は比較的落ち着いていました。しかし、整理券制のアトラクションにはことごとく外れてしまい体験を逃す結果に(「タイタンズスイング」は4回申し込みましたがすべて落選……そもそも体験可能枠がかなり絞られている設計のようです)。






園内のアトラクションの種類は・・・
●整理券がないと、並んでも体験できないアトラクション
●課金(有料パス)制のもの
●年齢・身長制限があるもの
●天候(風・雨)で休止しているもの
などが混在しており、スマホアプリだけでは「どこへ行けばいいのか」「何が体験できるのか」が非常に分かりづらい印象でした。
入場したら、まずは紙の園内マップを必ず手に入れることをおすすめします。
(スタッフから手渡しはされないので要注意です)
また、今回は意気込んで有料パスを購入したものの、平日で並び列自体が短かったこと、さらに利用時間が細かく指定されているためかえって園内の時間調整が難しくなるなど、有料課金システムと来園者の満足度のバランスには改善の余地を感じました。







■アトラクションの構造とマンパワーへの依存
ベルトコンベアやレールなど「自動化された流れ作業型の大型遊具」が少なく、多くがスタッフのマンパワーによる安全管理と運行に頼る構造になっています。
例えば
バギー体験:レールがないぶん、丁寧な事前説明と安全誘導を1対1に近い形で行っています。
「自由走行やスピード感を爽快に味わう」というよりは、「スタッフの先導に慎重についていく」スタイル。
安全第一とはいえ、回転率と爽快感の両立は今後の課題です。
天候依存のリスク:気球やバンジーなどの目玉アクティビティは風の影響で休止しており、自然依存型パークならではの稼働率リスクを目の当たりにしました。
唯一の大型機械式スリルライド「やんばるトルネード」:園の端にあるためか人はまばらで待たずに乗れました。年齢制限はありませんが、激しく回転するため50〜60代には三半規管的に少々厳しい乗り心地です。

■ 園内動線とファミリー・シニア層へのハードル
アトラクション間の移動距離が非常に長く、敷地内をかなりの距離歩く必要があります。
視察時は風の影響か、途中から園内モビリティ「TAM TAM TRAM(タム タム トラム)」が運行停止に。
沖縄特有の直射日光と蒸し暑さの中を徒歩で移動せざるを得ず、シニア層や小さなお子様連れには過酷な環境でした。

また、120cm以下の子どもが体験できるものが限られている点や、
一部アトラクション(バンジー グライダー、グラビティ ドロップ、ヒューマン アロー等)には60歳以上の年齢制限が設けられている点など、



「ファミリー・三世代来園」を想定したインフラとのギャップが浮き彫りに。
夫婦ですら、年齢(一人60才以上)・怖い乗り物苦手(一人置いて体験したいと言えるくらい短時間ではない)・しんどいの嫌 (アスレチックは若者向け?) など、一人好みが違っても、別行動は難しく、待ちながら楽しめる仕組みが急務だと思われます。(アトラクションをしている人を見ながらお茶が飲めるテーブルと椅子があるなど)
飲食と物販(MD)の改善ポイント
■ 飲食施設のキャパシティと気候対策
真夏日や雨天時に快適に過ごせる屋内の大型レストランは、実質的に
「PANORAMA DINING(パノラマ ダイニング)」の1カ所のみ。
広告等で見かける絶景のネスト席(屋外鳥の巣席・有料)は、あまりの暑さのため誰も利用していませんでした。
また、敷地が広大すぎるため「お腹が空いた」と思った地点からレストランまでが遠いのも難点です。



テイクアウト型のハンバーガーやピザを扱う「ワイルドバンケット」 もありますが、客席は屋外のため、猛暑下での「長時間の休憩・滞在」には不向きです。







▲赤いテントの下で撮影したため料理も赤く写ってしまいました……!
このワイルドバンケットで観られたエンターテインメントは圧巻でした、
そのほかのイベント・ショーも、
ダンサーやミュージシャンの方々のスキル、笑顔、そして「全力でゲストを楽しませよう」という熱量はすごくて、マンパワーの素晴らしさに心から拍手を送りたい瞬間でした。
だからこそ、天候に左右されずに過ごせるインドア飲食空間の拡充が本当に惜しまれます。
■ 物販(MD)ブランディングの方向性:素晴らしい「逸品」を安売りさせない見せ方の課題






ショップには木調の什器が並び、上質な空間が作られていますが、メインはTシャツやトートバッグなど「オリジナルキャラクターのグッズ」が中心でした。
まだキャラクターへの愛着が育っていない段階では、日常使いを想像しにくく、購入のハードルが高い印象を受けます。
そんな中、割引販売されていた「ジャングリアオリジナルの日焼け止め(UV CREAM)」を手に取ってみて、非常に驚きました。成分やパッケージをよく見ると、

と、まさに「沖縄・やんばるの大自然」というパークの哲学を体現した素晴らしい商品だったのです。
私自身、ダイビングをする際にぜひ愛用したいと思えるクオリティでした。
しかし、これが「割引」で売られていたことに、課題を感じました。
猛暑と強烈な日差しが降り注ぐ園内において、本来であれば
- エントランス付近での「今すぐ使える日焼け・紫外線対策」としての提案
- 「サンゴと森を守るエシカルな選択」としてのストーリーPOPや体験サンプルの展開
といった「課題解決型+ストーリー訴求」のVMD(売場演出)を行っていれば、定価でも飛ぶように売れ、客単価とブランド価値を引き上げるキラーアイテムになったはずです。
「キャラクターを売る」のではなく、「この大自然を体験する・守るためのギアやコスメ」として価値を言語化して届ける——。商品のポテンシャルが非常に高いだけに、見せ方・伝え方ひとつで変わるということを実感した実例でした。
【現地を見て感じたこと】初決算「赤字173億円」のニュースを受けて —
沖縄の未来のために、いま本当に必要なこと視察を終えた直後、ジャングリアの親会社が開業後初の通期決算で約173億円の最終赤字を計上したというニュースを目にしました。
初年度の来園者数は約100万人と多くの人々が訪れたものの、莫大な投資と維持管理コスト、減損処理が重くのしかかった形です。
沖縄を心から愛する一ファンとして、そして多くの地元企業やパートナーが熱い想いで支えているプロジェクトだからこそ、このニュースには胸が痛むと同時に「なんとか軌道に乗ってほしい」と強く願わずにはいられません。実際に現地を歩いたからこそ、「改善できる余地(伸びしろ)は現場にまだまだたくさんある」と確信しています。
- 天候・気候に左右されないインフラ設計(猛暑や雨・風をしのげる快適な屋内飲食・休憩拠点の拡充)
- マンパワー依存から脱却した、安全でスムーズな動線・オペレーションの再構築
- 「キャラクター頼み」を脱し、沖縄の自然・素材の価値を正しく伝えるMD(物販)の再設計
壮大な大自然のロケーションという、唯一無二の資産はすでにあります。
だからこそ、「開業時の話題性」の先にある「顧客のリアルな不便・不快を解消する現場改善」と「沖縄の固有価値をまっすぐに届けるブランディング」を地道に積み重ねることで、リピーターを生み、客単価を高め、支援してくれた沖縄の地域に報いる道ではないでしょうか。沖縄観光の新たな光となってくれることを信じて、これからも応援し続けたいと思います。
「執筆:西海 佳世」

